【書評】アメリカ横断ロードノベル「シャボン玉ピストル大騒動」少年の壮大な夢の果て

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「シャボン玉ピストル大騒動」とは?

シャボン玉ピストル大騒動」は、1974年ポール・ギャリコ氏によって、発表された小説です。ベトナム戦争の帰還兵が登場したり、ロシアのスパイが出てきたりと少々時代を感じさせますね。

主人公のジュリアンはまだ9歳ですが、自分を認めてくれない父親を見返すため、自作の玩具「シャボン玉ピストル」の特許を取るべく、家出同然で深夜バスに乗り込みます。行先のワシントンまで、多種多様な人達と関わりながらアメリカを横断する旅が描かれています。

発明家を夢見る九歳半の少年ジュリアンは、自信作のシャボン玉ピストルの特許を取るため、こっそり家を出て単身ワシントン行きの夜行バスに乗り込んだ。だがそこにはヴェトナム帰還兵から陸軍大佐、KGBのスパイに殺人犯まで乗り合わせていた! 少年が旅路で出会うさまざまな人々と事件は、彼に何をもたらすのか? あたたかさと切なさが彩るロードノベルの名品、新訳決定版。解説=三橋暁

引用元:公式サイト

「シャボン玉ピストル大騒動」の感想!

ジュリアンは、まずサンディエゴのバスターミナルで、バスに乗り込みます。サンディエゴの位置ですが、アメリカ西海岸のメキシコ国境沿い辺りにあります。ワシントンは東海岸の近くですので、サンディエゴからワシントンまで文字通りアメリカ横断の旅です。実に距離はおよそ4300km車でぶっ通しで移動しても約40時間かかる計算です。

もちろん物語中では、時々町や休憩所に立ち寄りながら旅していきます。バスの運行の描写自体は的確に省略されており、テンポよく話が進みます。

やたらと優しくしてくれるオジサン、文字通り家出してきた高校生カップル、ジュリアンを見守り助けてくれるベトナム帰還兵のマーシャル、陸軍の大佐とKGBの攻防、旅の音楽家、逃亡中の殺人犯、イギリス人で双子の老姉妹など、そういった人達と関わり、時にトラブルに巻き込まれ波乱万丈の旅が展開されます。

物語を彩るものとして配置されている登場人物と、物語終盤まで関わりを持つことになる人達がおり、話に緩急をつけつつ伏線も自然に散りばめらています。主人公の少年ジュリアンは、決して目立つような性格や見た目では描かれていませんが、その悪意のない純真無垢な少年らしさ故なのか、様々な人達が興味を持ち時に助けたりしており、ほっとけない存在になっています。

しかし、そんなジュリアンには少年から大人へと心を成長せざるを得ないような大事件が待っているのでした。それは読んでからのお楽しみ。

まとめ

シャボン玉ピストル大騒動」は、発明家を夢想する少年ジュリアンを中心として、アメリカ横断のロードムービー的な小説です。しかし、同時に群青劇でもあり、要所で各登場人物の話が挟まれているので、延々とバス旅を描くだけの話になっておらず、飽きないような構成に感じられました。